ChromebookにPython開発環境を構築する4つのステップ【サンプルコードあり】

6 min

本記事では、Chromebook(Chrome OS)に Python の開発環境を構築する方法を下記4つのステップで紹介します。最後はサンプルコードを使用して、実際に VS Code から web アプリをデバッグ実行します。
Step1:Chrom OS 上の Python 開発環境の全体像を知る
Step2:Chrom OS に Linux 開発環境をセットアップする
Step3:Linux 開発環境での Python の開発に必要なソフトウェアをインストールする
Step4:Python 仮想環境を構築しアプリケーションを実行する

本記事を最後まで読むと、Chromebook で「2部マッチング問題を解く web アプリ」が開発出来るようになります。

本記事のゴール

本アプリの詳細は下記記事をご参考ください

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Step1:Chrom OS 上の Python 開発環境の全体像を知る

Chromebook では、Chrome OS 上に直接開発環境を構築するのではなく、
Linux開発環境上に Python 開発環境を構築します。

Chrome OS と Linux 開発環境の関係は下記の図のように示せます。

Chrom OS がホストOS、Linux開発環境がゲストOSです。

Chrome OS と Linux開発環境の関係

ホストOS?ゲストOS?って何??」「2つのOSが動作するってどういうこと??」と思われる方は、こちらの記事の前半をお読みください。
まずは飛ばして頂いて構いません。

上図右側の Linux 開発環境に、Pythonの開発に必要なソフトウェア郡をインストールし、Python 開発環境を構築します。

Python の開発環境は下記の図のようなイメージになります。

Linux 開発環境上の Python 開発環境

Linux開発環境セットアップ直後は Python3.7 がインストールされておりますが、
その他のソフトウェアはインストールされておらずそのままでは Python の開発が進められません。

開発をするためには、VS Code(日本語化対応も必要) や下記ソフトウェアをインストールしなくてはいけません。

  • Pythonのパッケージ管理ソフト
  • Python仮想環境構築ライブラリ
  • Pythonライブラリのインストールに必要なソフトウェア
  • pillow(アプリケーションの動作に必要なPythonライブラリ)のインストール
    に必要なソフトウェア

Step2:Chrom OS に Linux 開発環境をセットアップする

Chromebook の設定アプリを起動しデベロッパーのLinux開発環境にて「オンにする」をクリックして進めていけばLinux 開発環境がセットアップ出来ます。

詳しくは、下記記事をご参考ください。

Step3:Linux 開発環境での Python の開発に必要なソフトウェアをインストールする

VS Code のインストールと日本語化

まず、VS Code をインストールします。

インストール自体は、公式サイトから「.deb」のインストーラーをダウンロード(中央のペンギンの下の左側をクリック)してインストーラーをクリックすることで進めらます。

VS Code の日本語化はやや癖があるので要注意です。

日本語化については下記記事をご参考ください。

Python ライブラリのインストールに必要なソフトなインストール

Chromebook の Linux 開発環境はそのままでは、pandas や Flask といった Python のライブラリをインストールすることが出来ません。

ターミナルを起動してコマンドを実行し、ライブラリのインストールに必須のソフトをインストールしていきます。

① Pythonのパッケージ管理ソフト

pip3 をインストールします。

sudo apt install python3-pip 

pip3 を使用してwheelをインストールします。

pip3 install wheel 

② Pythonライブラリのインストールに必要

dev をインストールします。

sudo apt-get install build-essential libssl-dev libffi-dev python3-dev 

pillow(アプリケーションの動作に必要なPythonライブラリ)のインストールに必要な
libjpeg-dev と zlib1g-dev をインストールします。

sudo apt install libjpeg-dev zlib1g-dev

Python仮想環境構築に必要なライブラリのインストール

Python 仮想環境を活用すると一つのOS上に複数のPython環境が構築できます

Python 仮想環境構築ライブラリをインストールします。

sudo apt install python3-venv

Step4:Python 仮想環境を構築しアプリケーションを実行する

下記の順で説明していきます

  1. Python 仮想環境の構築
  2. Python 仮想環境上に必要なライブラリのインストール
  3. Python 仮想環境上にモジュールを作成
  4. モジュールを実行

① Python 仮想環境の構築

ターミナルを起動しコマンドを実行していきます。

  1. STEP

    仮想環境を構築するディレクトリを作成

    mkdir <仮想環境を構築するディレクトリ>
  2. STEP

    仮想環境を構築するディレクトリに移動

    cd <仮想環境を構築するディレクトリ>
  3. STEP

    仮想環境を構築

    python3 -m venv <仮想環境名>
  4. STEP

    仮想環境をactivate

    cd <仮想環境を構築するディレクトリ>  
    source <仮想環境名>/bin/activate

② Python 仮想環境上に必要なライブラリのインストール

ターミナルにて下記コマンドを実行し空のテキストファイルを作成します。

touch requirements.txt

作成したファイルを標準搭載のテキストエディタなどで開き下記をペーストしてして保存します。

notebook>=5.3
ipywidgets>=7.2
jupyterlab<3.0.0
pandas
plotly==4.10.0
dash==1.15
dash-daq==0.5.0
dash-bio==0.4.8
dash-canvas==0.1.0
dash-auth==1.4.1
dash-cytoscape==0.2.0
networkx==2.5
jupyter-dash==0.4.0
dash_bootstrap_components==0.13.1
xlrd>=1.0,<2.0

ターミナルからPython仮想環境をactivateし下記コマンドを実行します。

cd <仮想環境を構築したディレクトリ>  
source <仮想環境名>/bin/activate

cd <requirements.txtが格納されているディレクトリ>
pip3 install -U pip setuptools
pip3 install -r requirements.txt

requirements.txt に記載したライブラリをインストールする前に setuptools をインストールする必要があります。

③ Python 仮想環境上にモジュールを作成

  1. STEP

    作業用ディレクトリを作成する

    ターミナルを起動して下記コマンドを実行します。

    mkdir workspace
  2. STEP

    作業用ディレクトリを指定してVS Codeで開く

    VS Codeを起動して、[ファイル]_[フォルダーを開く…]をクリックして、先程作成したディレクトリを指定します。

  3. STEP

    VS Codeにて新しいファイルを作成する

    VS Codeのエクスプローラーにて右クリックをして[新しいファイル]をクリックすることで新しいファイルを作成することが出来ます。

    下記ファイルを作成していきます。
    .py のファイルはすべて同一ディレクトリに作成して下さい

    networkxの各ノードを定義するモジュールを作成

    リンク先を参考に “CreateGraph.py” を作成します。

    カンマをリプレースするモジュールを作成

    リンク先を参考に “MyUtil.py” を作成します。

    重み最大マッチングを実行するモジュールを作成

    リンク先をコピーして “CreateGraphAndMax_weight_matching.py” を作成します。

    可視化アプリの基底クラスを定義するモジュールを作成

    リンク先をコピーして “MyDashBootStrap.py” を作成します。

    可視化アプリのモジュールを作成

    リンク先をコピーして “MyDashCytoscape.py” を作成します。

    可視化アプリを実行するモジュールを作成

    下記コードをコピーして “main.py” を作成します。

    from MyDashCytoscape import MyDashCytoscape
    def main():
        MyDashCytoscape("*** networkx2cytoscape ***", 8881)
    
    if __name__ == "__main__":
        main()

    実行している処理自体は下記記事とほぼ同じです。

④ サンプルプログラムの実行

  1. STEP

    VS CodeにてPythonの拡張機能をインストールする

    本拡張機能をインストールすることでVS Code から Python が実行可能になります。

  2. STEP

    VS Code の Pythonインタープリターに Python 仮想環境を指定する

    標準のままではPythonインタープリターは元の Python 環境を指定しています。
    ここでは、Python 仮想環境上で実行したいので Python インタープリターを変更します。

    VS Code左下の「Python x.x.x 64-bit」をクリックします。

    VS Codeの上部中央に「インタープリターを選択」が表示されます。

    「+Enter Interpreter path…」をクリックしてPython仮想環境を指定します。

    pythonworkspaceディレクトリに作成したvenv001という名前のPython仮想環境を選択すると下図のようになります。

  3. STEP

    VS CodeからPythonファイルを実行する

    VS Code にて実行したいファイル(今回の例ではmain.py)を選択して右クリックして[ターミナルで Python ファイルを実行]をクリックします。

    VS Code にターミナルが表示され Python 仮想環境上で実行されます。

    ctrl キーを押下しながら、ターミナルに表示されている「http://127.0.0.1:8881/」をクリックすることで Chrome から実行できます。

開発したコードの GitHub へのプッシュ方法については下記をご参考ください

まとめ

本日は Chromebook を使って Python 開発環境を構築し「2部マッチング問題を解くweb アプリ」を VS Code からデバッグ実行しました。

ちなみに、今回ご紹介したWebアプリについてですが、ユーザーインターフェースは「Dash」、ネットワーク図は「Dash Cytoscape」というフレームワークを活用しています。

ご参考になりましたら twitter をフォローして SNS でシェアして頂ければ幸いです。

ChromebookにMongoDB(NoSQL)をインストールする方法もご参考頂ければ幸いです。

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kewton

kewton

大学院卒業後、某大手SIerで10年以上SEとして従事。
社会人3年目までに基本情報・応用情報技術者、データベーススペシャリスト、簿記3級・2級を取得。
基幹系システム・IoTシステム開発のプロジェクト経験多数。AI活用システムの企画・プロト開発経験あり。
強みは、プロマネだけでなく自身で開発も実施してきたこと。
【扱える言語】
C#、java、python、javascript、Excel VBA
【扱えるDB】
oracle、sql server、postgreSQL、mongoDB

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