【5分でわかる】イノベーションを起こす組織に求められるリーダー像 – 【書籍紹介:「学習する組織」入門】 

5 min

日本の国際競争力が低下し続けています。一方で特許獲得数は世界三位を維持しています。技術シーズを価値に転化できていないのでは無いでしょうか?
VUCAの時代では「創発型組織への移行」に解決の糸口があると考えています。
本記事を読むと、「イノベーションを起こす組織への移行に向けたリーダー像」が解ります。

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なぜ、「学習する組織」入門か?

日本の国際競争力が低下している

世界競争力年鑑2021で日本の総合順位は31位です。

20年の34位からやや改善したものの過去30年間下降し続けています。

技術シーズを価値に転化できていないのでは無いか?

一方で特許獲得数は世界三位を維持しています。 

技術シーズを生み出す力はあるもののそれが価値に直結していないのです。

VUCAの時代では「創発型組織への移行」に解決の糸口がある

複雑さが増す時代では何が価値を生むのか予測は困難であり、多くは事後的にしか解らないと思います。さらに、多様化も加速しており、個人で出来ることに限界があります。

このような時代では「個人が自分以外のノウハウにもアクセスし、それらを組み合わせて新たな価値を創造し続けている」組織が求められていると思います。

つまり、「創発型組織への移行」が重要だと思います。

組織論の分野では「創発」は、「個々人の能力の総和や予測を超えた創造的な成果が、個々人の適切なコミュニケーションによって組織に生まれること」と定義されています。

ノウハウを活用する組織を理解したい

いずれにしてもまずは”ノウハウを活用する組織”を理解するところから始めなくてはいけません。

だから、私は本書(「学習する組織」入門)を手にとりました。

イノベーションを起こす組織への移行に向けて、この本から私が知りたいことは以下の3点です

  • 「組織にノウハウが蓄積されている」とはどういう状態か?
  • 組織に蓄積されたノウハウから何かを創造するとはどういうことか? 
    また、創発的組織とはどういう組織か?
  • 創発型組織への移行にはどのようなリーダーが求められるか?

『「学習する組織」入門』の概要 

著者・出版社・発行日

著者

小田理一郎

出版社・発行日

英治出版 (2017/6/21)

本書の概要

本書の立ち位置

本書はタイトルの通り「学習する組織」の解説書です。

センゲの『学習する組織』は非常に評価の高い書籍ですが、約600ページの大著ですし、内容の幅広さ・奥深さゆえに「何からどのように実践すればよいかわかりにくい」といった声も聞かれます。そこで、この本では、主にピーター・センゲらのまとめた手法体系の基礎に絞って、わかりやすく解説していきます。

「学習する組織」入門 はじめに

本書では特に「深い学習サイクル」を実現するための「理論・ツール・手法」の解説に多くの紙面を割いています。 

「深い学習サイクル」の理論的枠組み

「深い学習サイクル」は「信念・前提」「慣行」「スキル・能力」「関係」「気づき・感性」という5つの要素をつないだサイクルであり、ダブル・ループ学習を構成している。

これにより「知識やスキルとしての理解」を「姿勢・立ち位置やあり方のレベル」へと熟達させることができる。

「深い学習サイクル」に到達するためには3つの能力を継続的に高めなくてはいけない。

  • 志を育成する力
  • 複雑性を理解する力
  • 共創的に対話する力 

これら3つの学習能力は5つのディシプリンから成り立っている。

  • 自己マスタリー
  • システム思考
  • メンタル・モデルへの対処
  • チーム学習
  • 共有ビジョン

ディシプリンとは「自分の人生に一体化させて取り組む活動」のことです。

従って、「学習する組織を作る」ということは、5つのディシプリンを追求し続け、
自分・チーム・会社を継続的に成長・進化させていく不断の実践活動
を意味します。

本書の概要

本書は、1~2章で「学習する組織」について、3~7章で「5つのディシプリン」について、8~9章でより実践に向けた方法を紹介しています。

重要概念:5つのディシプリン

①「自己マスタリー」は、個人の成長と学習に関するディシプリンです。

②「システム思考」は、現実の複雑性を理解するために、ものごとのつながりや全体像を見て、その本質について考えるディシプリンです。

③「メンタル・モデルへの対処」とは、自らのメンタル・モデルに効果的に対処する能力と意識を磨くことに関するディシプリンです。
メンタル・モデルとは、私たちの心の奥深くに根ざした前提、一般理論、イメージまたはストーリーのことです。

④「チーム学習」は、グループで一緒に探求、考察、内省を行うことで自分たちの意識と能力を共同で高めるディシプリンです。

⑤「共有ビジョン」は、組織全体で互いに個人ビジョンを聞き合い、共有ビジョンを紡ぎ、今の現実と対比して未来に対して創造的な姿勢で取り組むことに関するディシプリンです。

目次

  • 序文 – 「学習する組織」著者から
  • はじめに
  • 第1章 学習する組織とは何か
  • 第2章 組織の学習能力 学習サイクルと学習環境、そしてディシプリン
  • 第3章 自己マスタリー 自分の意識と能力を高め続ける
  • 第4章 システム思考 全体像をとらえ、本質を見出す
  • 第5章 メンタル・モデル 前提を問い、認識を新たにする
  • 第6章 チーム学習 場と関係性の質を高める
  • 第7章 共有ビジョン 「どうありたいのか」に答える
  • 第8章 実践上の課題と対策
  • 第9章 組織の未来、リーダーシップの未来
  • あとがき
  • 参考文献

本書を読んで解ったこと

問①:「組織にノウハウが蓄積されている」とはどういう状態か?

「組織にノウハウが蓄積されている」とは、”知っている”レベルではなく”出来る”レベルでの知の移転が継続的に起こり価値を生み出している状態であると言える。

学習する組織における学習を、「目的に向けて効果的に行動するための意識と能力を高めること」と定義します。上述の学習の語源に倣い、わかるよりもできることにその主眼があります。 
(中略)
なお、組織内で知識を想像・保持・移転するプロセスを「組織学習」と呼びます。

「学習する組織」入門 第1章

「学習する組織=ノウハウを持った人がたくさんいる」ではない。個人の間で知の移転が起きている状態のことを言うんだな。

忠犬SE

忠犬SE

「何事も蓄積されているだけでは価値を生まず、活用されて初めてそこに価値が生まれる」と考えているんだよね。

忠犬SE

忠犬SE

問②:組織に蓄積されたノウハウから何かを創造するとはどういうことか?

外部の知が”出来る”レベルで自身に移転されたとき、内部で複数の知の融合が生じ、イノベーションが発生する。

創発型組織とは「メンタル・モデルに多様性のある集団が、組織学習により大きく異なる互いの知を融合させ、継続的にイノベーションを創造している組織」と言える。

相互に信頼できるような関係性の質が高ければ、組織の気づきの状態は広がり、メンバーの感性が活かされる状況が生まれます。 
(中略)
気づきの状態や感性が、メンバーたちの信念や前提、つまりメンタル・モデルに影響を与えます。 
(中略)
メンタル・モデルとは、「私たちがどのように世界を理解し、どのように行動するかに影響を及ぼす、深く染み込んだ前提、一般概念であり、あるいは想像やイメージ」を指します。 

「学習する組織」入門 第2章

ちなみに、どうやら高スキル移民がイノベーションに貢献しているらしい。
ということは、メンタル・モデルが大きく揺さぶられたときイノベーションが発生するということだね。

忠犬SE

忠犬SE

問③:創発型組織への移行にはどのようなリーダーが求められるか?

創発型組織への移行には「使用理論と信望理論を一致させ、5つのディシプリンを使いこなすことが出来るリーダー」が求められる。

自分の心が向かう場所、自分の心が本当に求めている結果を探求することこそが、学習する組織における学習、創造、そしてリーダーシップの源泉です。 

「学習する組織」入門 第3章

達人・名人の段階に達したリーダーたちは、不確実な時代にあって目指す場所を示すビジョンの力、自身の思考、行動、結果の間の不一致を探求して葛藤から創造を生み出す力、自分自身の感情や脆さをさらけ出すことで共感を高める力など、新しいタイプのリーダーシップの力を活用します。

「学習する組織」入門 第9章

言葉だけで行動が伴っていない人は信用されないよね。
そして、5つのディシプリンを高いレベルでバランスよく使いこなせなくては組織を変容出来ないとうことか。

忠犬SE

忠犬SE

気づきコーナー

学習者としての中立的な姿勢をとることが個々人にとっての目指す姿

自身の中のバイアスに左右されないことが重要!

つながりの質こそがシステム全体のパフォーマンスに大きな影響を与える

自分のスキルを磨くことばかりを考えてきたが、それだけでなく知の移転を促すような関係性の構築の重要性を認識する!

実際には頭の中にないことは見えない、聞こえない、気づかない状態になりがち

己を過信せず、他者から気づきを与えてもらえる関係性の構築を目指す !

まとめ

本記事では、『「学習する組織」入門』を紹介しました。

記事の重要ポイントは以下です。

  • 「組織にノウハウが蓄積されている」とは、”知っている”レベルではなく”出来る”レベルでの知の移転が継続的に起こり価値を生み出している状態であると言える。 
  • 外部の知が”出来る”レベルで自身に移転されたとき、内部で複数の知の融合が生じ、イノベーションが発生する。
  • 創発型組織とは「メンタル・モデルに多様性のある集団が、組織学習により大きく異なる互いの知を融合させ、継続的にイノベーションを創造している組織」と言える。
  • 創発型組織への移行には「使用理論と信望理論を一致させ、5つのディシプリンを使いこなすことが出来るリーダー」が求められる。

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kewton

kewton

大学院卒業後、某大手SIerで10年以上SEとして従事。
社会人3年目までに基本情報・応用情報技術者、データベーススペシャリスト、簿記3級・2級を取得。
基幹系システム・IoTシステム開発のプロジェクト経験多数。AI活用システムの企画・プロト開発経験あり。
強みは、プロマネだけでなく自身で開発も実施してきたこと。
【扱える言語】
C#、java、python、javascript、Excel VBA
【扱えるDB】
oracle、sql server、postgreSQL、mongoDB

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