「シン・営業力」でDX時代に勝つ!「営業しない営業」とは、お客様から仕事を提供してもらえるシステムをつくることです。天野眞也さんが実践した「観察眼」と「戦略眼」の鍛え方を解説します。
仮説提案しているもののお客様に提示価格を納得していただけないことはありませんか?
顧客が価値ではなく価格に注目してしまっているのです。
一方、キーエンスは顧客に価値を認めて頂いています。
本記事では、元キーエンスのトップ営業の天野さんが著した「シン・営業力」を BtoB 商談担当の視点で読んだ感想を紹介します。
本記事を読むと
「どうやってビジネスの種を見つけているのか?」
「なぜビジネスの種を見つけることができるのか?」
「なぜ価格競争に陥らないのか?」
が分かります。
商談活動の型については、「Sales is」をご覧蔵ください。
目次
BtoBで商談対応している私が本書を手に取った背景と期待
仮説提案しているが提示価格を納得してもらえない
私は数年前から製造業向けのBtoBの商談活動を担当しています。物売りではダメで、顧客の課題や効果を訴求しなくてはいけないという認識はあり、顧客の課題に対しソリューションを提案しています。
しかし、必ず「高い」「安く出来ないか?」という反応が帰ってきます。
顧客との間で想定効果に齟齬があるから?
私としては効果を見積もり、3年程度で回収できる見込みの価格を提示しています。
しかし、お客様と話をしているとどうやら自分たちが思っているよりお客様の認識している効果は狭く小さいことが分かります。(本当かなー?)
キーエンスは顧客に価値を認めて頂いている
このあたり外から見てキーエンスはすごく上手くやっている印象があります。他社製品と比較してかなり高価ですが、それでもお客様は投資対効果に納得している。(あくまでイメージです)
実際、同業他社と比較しても利益率が圧倒的に高いです。(これは事実)
この秘密を知りたい
そんななか、元キーエンスのトップ営業がノウハウを書籍化したとの情報を入手しました。すぐ、この本「シン・営業力」を手に取りました。
この本から私が知りたいのは以下の3つです
本書の概要
著者・出版社・発行日
著者
株式会社キーエンスが、新卒を初めて募集した年に入社。ロボットや自動機に取り付けるセンサーやカメラをエンジニア向けに18年にわたり提案してきた。営業成績のランキングでは同期の新人190人中1位、2年目からは、全社のランキングでも1位になる。26歳で初めて10人以上の部下を率いてマネジメントを経験。その後、グループ責任者、営業所長のポジションを経て社長の直轄である海外営業・重点顧客プロジェクトの初代リーダーに抜擢。1兆円を超えるグローバル企業を相手に営業を仕掛ける。このプロジェクトは3年で大成功を収め大きな転機となり40歳で独立を決意。FAプロダクツの前身である株式会社FAナビを立ち上げ、代表取締役社長に就任。不人気業種となった日本の製造業を、コネクテッド・エンジニアリングを駆使して、そこではたらく人々がワクワクするものにするべく奮闘中。
TeamCrossFA 代表メッセージ 天野眞也
出版社・発行日
クロスメディア・パブリッシング(2022/2/21)
本書の概要
著者は、営業としての行動原理は「お客様に最も得をさせること」とし、
営業の仕事を「お客様が事業・ビジネスを進める一歩目をつくる仕事」と定義しています。
一方、「営業しない営業」が営業の理想形とも言っています。それは、“ある日突然、お客様から大型案件の依頼が舞い込む”ということが当たり前のように起こる状態です。
著者は、「対人折衝力」がとくに必要と言われてきた「従来の営業力」ではなく、これからの時代にこそ求められる営業力を「シン・営業力」と定義します。
「シン・営業力」においては情報戦略が重要です。そのためには営業としての原理原則を知った上で「観察眼」と「戦略眼」を鍛えることが必要であると解いています。
目次
- プロローグ:あなたのビジネスが変わる、シン・営業力
- 第1章:「営業する前」に読んでおきたい原理原則
- 第2章:「観察眼」を磨くと見える! 営業としての現在地と勝ち筋
- 第3章:「戦略眼」を磨くと描ける! 営業のサクセスシナリオ
- 第4章:「情報」がトリガーとなって起こる大勝利
- 第5章:事前準備から商談までの営業フローのツボ
- 第6章:崩れそうなシナリオをゴールに導く、局面突破法
- 第7章:シン・営業力のマインドセット
- エピローグ:Noと言われるすべての営業にエールを
観点①:どうやってビジネスの種を見つけているのか?
大ファンは、予算を確保してくれたり、社内キーパーソンとつなげる場をセッティングしてくれたり、お客様社内で私の提案を推薦・交渉してくれたり、社内情報をいち早く共有してくれたりします。
シン・営業力 第4章
観点②:なぜビジネスの種を見つけることができるのか?
ビジネスの種は大ファンが教えてくるということが分かりました。するとこの問いは、「どうやって大ファンを作っているのか?」と言い換えられます。
「4つの情報」をコツコツと集めていくと、もはやお客様の企業のいち担当者・決済者よりもお客様のことを知っている状態になります。
シン・営業力 第4章
(中略)
このような情報共有の役割も担うことで、お客様から頼りにされる存在になっていき、まだ接点を持っていなかった方からも「ちょっと話をきかせてほしい」とお声をかけていただけるようになっていきます。
4つの情報とは下記のことを言います(詳しい定義や活用イメージは本書をご参照ください)
- 組織情報
- 担当情報
- 案件情報
- 工程情報
ファンとは熱心に応援してくれる存在のことを言います
- 出せる社内情報は競合他社よりもいち早く教えてくれる
- 一度は必ず提案する製品を検討してくれる
大ファンとは、上記に加え「こうしたほうがうまくいくよ」と先導してくれる存在のことを言います。
では、どのようにしてファンをつくることができるのでしょうか?
シン・営業力 第4章
ここでも「量」が前提となります。
地道ですが、自分のファンになってくれる人に出会うまで、ひたすら人に会い続けることです。
観点③:なぜ価格競争に陥らないのか?
投資対効果に価値を感じていただくためにも、自社・自社製品の「バリュープロポジション」を明確にすることが重要です。
シン・営業力 第2章
バリュープロポジションとは、「競合企業にはなくて、自社だけが提供できる価値」のことを言います。
お客様が自社の製品・サービスの提案にまだ十分に価値を感じていない状況で、営業担当者自ら「見積もり」を出してしまっては、投資判断の軸が「価値」から「価格」にすり替わっていってしまいます。
シン・営業力 第6章
「価値」を感じてもらってから「価格(見積もり)」の順番を絶対に守りましょう。そしてお客様の意欲が最も高まったタイミングで価格を出してください。
シン・営業力 第6章
気づき/これからやること
ほぼ独り言です。
①:「法人の利益」と「法人のなかの個人の利益」になる提案が重要
- 担当者のミッション/興味/関心を明らかにします
- 担当者にとっての利益も訴求します
②:自社・自社製品の「バリュープロポジション」を明確にすることが重要
- バリュープロポジションをテーマにディスカッションする場を設けます
③:「決裁権を持つ担当者」は、基本的に待ちの姿勢であることが多い
- 過去にダメだったお客様にも再度アプローチします
まとめ
本記事では、「シン・営業力」を紹介しました。
重要なポイントは以下の3点です。
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