【コロナ敗戦・第3の敗戦】今の日本には”前提を問い直す”リーダーが不足している -【書籍紹介:「超」入門 失敗の本質】

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2020年から続く新型コロナの影響により閉塞感が増しています。
特に日本ではコロナ敗戦とも言われますが、太平洋戦争の頃と状況が似ているのでは無いでしょうか?
本記事では、『「超」入門失敗の本質』を紹介します。
最後まで読むと、「この国はもう一度立ち上がるためのヒント」が解ります。

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本書の背景

著者と本書

著者の鈴木博毅(すずき ひろき)さんは、ビジネス戦略コンサルタント・著作家です。

本書は、1984年刊行の「失敗の本質―日本軍の組織論的研究」の解説書で、「失敗の本質」が描く組織論のエッセンスを23のポイントに絞って抽出し7つの視点で紐解いています。

忙しいビジネスパーソンが「失敗の本質」を仕事で役立てられることを目的としています。

失敗の本質では何を明らかにしているか?

組織を複雑系として捉え、負けをもたらした原因の構造を明らかにしています。

ご存じの通り『失敗の本質』は、日本が約七十年前に経験した大東亜戦争時の、日本軍の組織論を分析した本です。ケタ違いの規模、劇的な展開、人類が経験した最も悲惨かつ残酷な戦争である第二次世界大戦において、なぜ日本が負けたのかを、国力の差ではなく、作戦や組織による「戦い方」の視点から解説しています。

 なぜ負けたのかを、物量の差や一部のリーダーによる誤判断のせいにして片づけることなく、そうした誤判断を許容した日本軍という組織の特性を明らかにすることで、戦後の日本の組織一般にも無批判に継承された、この国特有の組織の在り方を分析しています。

『「超」入門失敗の本質』.序章.日本は「最大の失敗」から本当に学んだのか?

執筆のきっかけ

危機的状況の打開策が見えていないことに危機感を感じた。

なぜ、「失敗の本質」で明らかにされていることが実践できないのか?
なぜ、使いこなせていないのか?

著者は、90年代に「失敗の本質」を読んだときは特に危機感を感じなかったのですが、00年代から日本に閉塞感を感じ、「失敗の本質」と状況が似ているのでは無いかと考えるようになったようです。

本書の最終目標

本書の最終目標は、変化に直面している会社・過去に成功した組織が内部で抱える次の失敗を避け、新たなイノベーションを成し遂げる方法を明らかにすることです。

変化に直面している会社、過去に成功した組織が内部で抱える次の失敗を避け、新たなイノベーションを成し遂げる方法を明らかにする。それこそが本書の最終目標であり、『失敗の本質』をビジネスをはじめとするさまざまな局面で活用するために必要なことだと考えています。

『「超」入門失敗の本質』.序章.日本は「最大の失敗」から本当に学んだのか?

本書のポイント

本書は、「負けた原因の構造」を7つの視点で整理しています。

この中でも特に重要な視点が、戦略性メンタリティ思考法リーダーシップです。

敗北の直接原因である「戦略性」

まず初めに、戦略性に原因を見出しています。

米軍と日本軍の違いは、「目標達成につながる勝利」の数

米軍の勝利の多くが目標達成につながったに対し、日本軍は努力の70%が無駄に終わりました。

このような戦略性の違いが日本軍に敗北をもたらしました。

では、戦略とは何でしょうか?

戦略とは目標達成につながる勝利を選ぶこと

です。

指標こそが勝敗を決めます。

日本軍が、「どこかの戦場で大勝利すれば勝敗が決まる」という誤った指標を追いかけているのに対し、米軍は、「国家の国力、生産補給力で勝敗が決まる」という正しい指標を追いかけていたのです。

これと同じ図式はCPUの技術開発でも成り立ちます。

「処理速度」を追いかけた日本の電気メーカーに対し、「活用しさやすさ」を追いかけたインテルに軍配が上がりました。

一方、偶然指標を発見して成功したとしても、指標を理解していないと勝利は継続できません。

例えば、戦略として追いかける指標の有効性にかかわらず同じ行動をとり続けることを「〇〇主義」(「白兵銃剣主義」や「艦隊決戦主義」など)と呼べます。

では、戦略性の乏しさはどこから来るのでしょうか?それはメンタリティです。

戦略性を乏しくする日本人的「メンタリティ」

日本人的メンタリティの特徴に以下の6つがあります。

  • 「何が正しくて間違いであるか」を論じる基準がない
  • 「正しい警告」を無視する
  • 希望的観測に心理的に依存していく
  • 「未解決の心理的苦しさ」から安易に逃げている
  • 「こうであってほしい」という幻想を共有する恐ろしさ
  • 「最良の結果」を目指した議論ではなく、すでに存在する議論を守ることが目標になっている

これらの特徴に心当たりのある方も多いのでは無いでしょうか?

このような特徴が戦略性を乏しくしています。

では、メンタリティに問題があるならば我々はどうしようもないのでしょうか?

いいえ、決してそんなことはありません。

思考法を変えれば解決できます。

思考の硬直性を打開を変える「思考法」

日本人的思考法は変化に対応できないとう問題を抱えています。

その結果、達人を不要とするシステムを作るのではなく、戦闘における達人を育成しますし、目標のための組織ではなく、組織のための目標を作り勝ちです。

原因は「目標と問題構造を所与ないし一定とした」上で最適解を選び出す学習プロセスにあります。

このような問題に対し、本書ではソリューションを提案しています。

これらの問題の解決割くは、「想定した目標と問題自体が違っている」のではないか、という疑問・検討を含めた学習スタイル。つまり、ダブル・ループ学習です。

解決方法が見えてきました。ダブル・ループ学習です。

このあたり、詳しくは「学習する組織」入門についての記事をご参考ください。

では、ダブル・ループ学習を組織に根付かせるのは誰でしょうか?

そうリーダーです。

真のリーダーがポコポコ生まれればこの国はもう一度立ち上がれます。

思考法に変化をもたらす「リーダーシップ」

以下の特徴を持った人はチャンスを潰します。

  • 自分が信じたいことを補強してくれる事実だけを見る
  • 他人の能力を信じず、理解する姿勢が無い
  • 階級の上下を超えて、他者の視点を活用することを知らない

真のリーダーは、以下の特徴を持ちます。

  • 「新たな指標」を見抜くことができる
  • 「安定という均衡状態に変化を与える」ことができる
  • 「聞きにくいことを聞き」「言いにくいことを伝える」ことができる
  • 都合の悪いことをオブラートに包むような安易な居心地の良さを打破する大切さを知っている

つまり、「リーダーが自分の考え方を間違っているかもしれないことを認識する」ことから始まるのです。

システム思考で言うところのレバレッジポイントがリーダーシップです。

印象に残っている言葉

自分の目と耳で確認しないと脚色された情報しか入らない

17番目のポイント

本当にそうです。心当たりありありです。

外から見てるとキラキラしてても中から見ると汚れているなんてことは良くあります。
報告なんていくらでも脚色できますからね!

腐っている組織は、ボスが状況を正しく掴めていないです。

忠犬SE

忠犬SE

おわりに

本記事では、『「超」入門失敗の本質』を紹介しました。 

重要ポイントは以下です。

「リーダーが自分の考え方を間違っているかもしれないことを認識する」とドミノの1枚目が倒れる

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その他おすすめの書籍

  • 本書の解説の元になっている本です。
  • 指標値(KPI)の大切さについて述べられている本です。
    amazonでは、必ずKPIを設定し、数字で把握できるようにします。
    客観的な数字で実施状況をモニターし、うまくいかないときには、すぐに手が打てるようにしているようです。
  • ダブル・ループ学習については「学習する組織」が詳しいです。
  • 「学習する組織」はかなり分厚くて難解なので、読み解くのが大変な方には以下の本がおすすめです。
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kewton

kewton

大学院卒業後、某大手SIerで10年以上SEとして従事。
社会人3年目までに基本情報・応用情報技術者、データベーススペシャリスト、簿記3級・2級を取得。
基幹系システム・IoTシステム開発のプロジェクト経験多数。AI活用システムの企画・プロト開発経験あり。
強みは、プロマネだけでなく自身で開発も実施してきたこと。
【扱える言語】
C#、java、python、javascript、Excel VBA
【扱えるDB】
oracle、sql server、postgreSQL、mongoDB

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