自律分散型組織をつくるマネジメントの原理原則 – 【書籍紹介:チームの力-構造構成主義による”新”組織論】

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データ爆発時代に中央集権型組織のマネジメントが機能不全を起こしています。
少人数のみが意思決定可能な組織はチームの力を低下させていると思いませんか?
これからはメンバーが自律的に動く組織が望ましいですよね。
本記事では、「ふんばろう東日本支援プロジェクト」を立ち上げた西条さんが著した「チームの力」を紹介します。
最後まで読むと「自律分散型組織をつくるマネジメントの原理原則」が解ります。

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なぜ、「チームの力」を求めるのか?

データ爆発時代に中央集権型組織が機能不全を起こしている

データの流通量が爆発的に増加しています。1箇所で処理できるデータ量には限界があります。

従来の中央集権型では大事な情報を取りこぼしている可能性があると思います。

少人数のみが意思決定可能な組織はチームの力を低下させているのではないか? 

一般的な企業は、執行役が中心となり経営計画や経営方針を元にルール・意思決定プロセス・実行可能な短期計画を策定し、幹部社員が意思決定(多くは多段階)することで、組織を動かしていると思います。

このようなやり方は、データ爆発時代かつスピードが求められる現代では3つ問題があると思っています。 

  1. 意思決定者側の情報が不足する
  2. 意思決定までに時間を要する
  3. 短期計画の見直しに時間を要するため変化への対応力が低下する

これからはメンバーが自律的に動く組織が望ましい

このようなことから、これからは、各メンバーが現場しか知り得ない1次情報を元に自律的に考え、最短で行動する組織が生き残っていくのでは無いかと考えるようになりました。 

つまり、自律分散型組織です。

組織を自律分散化するマネジメントが出来るようになりたい

しかし、私は、実際に自律分散型組織を率いた経験が無く、想像も出来ないようなしょうもないビジネスパーソンです。 

だから、本書を手にしました。

この本から私が知りたいことは以下の3点です

  • なぜ、自律型組織が必要なのか?
  • 自律分散型組織では従来のマネジメントと根本的に何が違うのか?
  • 自律分散型組織をマネジメントをするためにはどの能力を伸ばせばよいのか?

本書の背景を説明したあと、これらの問いについての解を説明します。

「チームの力」の概要

チームの力 構造構成主義による“新”組織論 (ちくま新書) [ 西條剛央 ]

価格:880円
(2021/9/10 22:24時点)
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著者

著者は、西條 剛央(さいじょう たけお)さん。

早稲田大学の心理学系専攻出身で人間科学博士、構造構成主義の提唱者です。

著者は、2011年3月11日の東日本大震災直後、「ふんばろう東日本支援プロジェクト」を立ち上げ、
このプロジェクトにおいて、自身が提唱する構造構成主義に基づいて組織を運営しました。

プロジェクト自体は2014年10月に役目を終えて解体しました。
同時に、その功績が讃えられアルス・エレクトロニカのグランプリを受賞しています。

本書の背景

本書は2015年に出版されました。

「ふんばろう東日本支援プロジェクト」が抱える特殊な事情での経験を元に組織論が展開されています。

事情①何万人規模のボランティアである

ボランティアであるため金銭以外の力で、見ず知らずの何万の人を動かさなくてはいけない

事情②情報の集約が実質不可能

行政も壊滅的な打撃を受け、情報を統制してコントロール出来る状態ではありませんでした。

従って、行政も壊滅的な打撃を受け、情報を統制してコントロール出来る状態ではなかったのです。

事情③最終的には自分たちが必要とされなくなること(つまりなくなることが目的)

被災地の方々がこのプロジェクトに依存してはいけない。

むしろ、被災地の方々の自律を促さなくていはいけない。

コアとなる主張

このような特殊な事情を抱えるプロジェクトの運営にあたりコアとなる考えがあります。

方法とは「特定の状況において、何らかの目的を達成するための手段」である

というものです。

「ふんばろう東日本支援プロジェクト」では、この考えをベースとして様々な課題に立ち向かっています。

今の日本の多くの組織は、方法の原理が根づいていないために、経験的に培った方法を踏襲することしかできない。そのため、本来の目的を重視するよりも、方法を順守する”方法の自己目的化”に陥りやすい。 

「チームの力」第3章

「ふんばろう」が機能したのは、常に状況と目的に応じて有効な方法を考え出すための”方法の原理”を共有し、それを指針に実践したからにほかならない。 

「チームの力」第3章

目次

  • 序章:「進撃の巨人」の”巨人”とは何か
  • 第1章:なぜ未曾有のチームができたのか
  • Column1 なぜ心理学に進むことになったのか
  • 第2章:どんなチームを作るのか – 「価値の原理」
  • Column2 メンタルが身体パフォーマンスを変える
  • 第3章:ブレないチーム運営 – 「方法の原理」
  • Column3 ビッグウェーブ
  • 第4章:機能するチームとは – 「人間の原理」
  • Column4 アルス・エレクトロニカ授賞式
  • あとがき – “いいチーム”とは何か

解ったこと(期待に対する解)

なぜ、自立型組織が必要なのか?

激しい変化に対応するために”小さな力を集めて大きな力に”という戦略を取る場合、
自律分散型組織が適している

壊滅したところほど、情報は上がりようがなかったのだ。 
そこで、「タテ組織で統率する」という発想は捨てた。 
(中略)
組織の中心はあっても、そもそも組織の内外という“境界”がない。 あえてあえてNPO団体にしないことで、NPO、行政、企業の方々が、誰でも参加できるようにした。既存のやり方を踏襲するのではなく、”小さな力を集めて大きな力に”を戦略的指標とし、それを実現するための新たな仕組みを次々と考案していった。

「チームの力」第1章

状況の変化は加速する一方であり、今年通用した戦略や方法が来年も通用する保証はない。状況が変われば、方法も変える必要があるのだ。方法の原理をリテラシーとして共有できれば、その組織は前例主義の硬直した状況を打開していくことができる。

「チームの力」第3章

自律分散型組織では従来のマネジメントと根本的に何が違うのか? 

自立分散型組織を推進していくためには、各個人が自身のコンピテンシーを変えなくてはならない。個人の行動変容を促すためには、原理原則を中心とした以下のマネジメントが有効である。

  • 自律的な活動:原理原則(特に方法の原理)を各自にインストールし、Tipsを共有
  • 広い視野:全体最適のために複数グループに所属させ帰属意識を分散
  • コミュニケーション力:原理原則(特に方法の原理)を各自にインストール
  • 推進力:役割を細分化しメンバーに責任を与える

参考になるよう現地でも効果的な働き方と、方法の原理といったコンパスとなる考え方だけをメンバーに伝えて、あとは状況と目的をみながらその場で判断してください、としたのだ。
(中略)
情報を共有するための何千人単位のグループのほかに、プロジェクトや機能部門ごとに数百人、数十人といった入れ子のような中小規模のグループを作ることだ。
(中略)
細分化して役職を引き受けてもらった。
(中略)
状況の変化に合わせて、必要な箇所に人員を集中的に投入できるようにしたのだ。色々なグループに入っていると、帰属意識が分散する。
(中略)
そうではなく、”方法の原理”に基づいて、「今の状況と目的を踏まえた上で、よりよい代案を出してください」とするとよい。

「チームの力」第1章

自律分散型組織をマネジメントをするためにはどの能力を伸ばせばよいのか?

適切な”問い”こそが、チーム(組織)をまっとうな方向に導く。 
適切な問いを立てるには、誠実さと感情やバイアスに負けない論理力が必要である。
必要な能力は以下の3つ 

  1. 俯瞰して自分の思考や行動に関する傾向を把握する能力 
  2. 誠実であり続ける能力
  3. 哲学(「前提を問い直す」「物事の本質を洞察する」)の能力

リーダーシップとは、チームを目的達成に導く力なのだ。
(中略)
リーダーシップとは、(1)特定の状況下で、(2)自分を活かして、(3)チームの目的を実現するための技能だということができる。
(中略)
リーダーとなるものは、まずは俯瞰して自分の思考や行動に関する傾向を把握しておくことが重要になる。それによって自分の性質の偏りを自覚すれば、その反対の側面を意識することで状況に応じてバランスを取ることもできる。 
(中略)
リーダーは誠実であらねばならない、部下はリーダーの失敗には寛容だが、不誠実であることは許さないものだと言っている。

「チームの力」第2章

人間は感情を持っている。がんばってやってきた人ほど「せっかくやってきたのにもったいない」とつい思ってしまう。そうした情報に引っ張られて非合理的な意思決定をしてしまわないために、「論理」が必要なのだ。
(中略)
「気持ちはわかるけども、それは埋没コストにとらわれた考え方であり、ここで過去にとらわれていたら事態はより悪化する一方だ。状況が変わった今、目的を達成するためには、今までのやり方は捨てて、新たな事業に乗り出した方がよい」と建設的に提案することを可能にするのが”方法の原理”なのだ。
(中略)
適切な”問い”こそが、チーム(組織)をまっとうな方向に導くのだ。

「チームの力」第3章

気づきコーナー

知識労働者の動機付けは、ボランティアの動機付けと同じである

転職するのが当たり前になると顕著になりそう。ある意味日本のマネージャー陣は人材流動性の低さによりマネジメントスキルが求められていないのかもしれないな。

忠犬SE

忠犬SE

しっかりと動機付けスキルも身につけなとな。
(どうやって身につけるかは不明だがw)

忠犬SE

忠犬SE

出来事の意味は事後的に決まる

「過去は更新できる」ということね。例え嫌なことだったとしても前向きになれるように意味を与えないとね。

忠犬SE

忠犬SE

失敗回避バイアスと責任回避バイアスの強い組織では前例主義が非常によく機能する

失敗回避バイアスや責任回避バイアスが働いていると感じたら即時対策を考えるように意識改革だ!

忠犬SE

忠犬SE

おわりに

本記事では、「チームの力:構造構成主義による”新”組織論 (ちくま新書) 新書」を紹介しました。

本記事の重要ポイントは下記です。

  • 激しい変化に対応するために”小さな力を集めて大きな力に”という戦略を取る場合、自律分散型組織が適している
  • 自立分散型組織を推進していくためには、各個人が自身のコンピテンシーを変えなくてはならない。個人の行動変容を促すためには、原理原則を中心としたマネジメントが有効である。
  • 適切な”問い”こそが、チーム(組織)をまっとうな方向に導く。 適切な問いを立てるには、誠実さと感情やバイアスに負けない論理力が必要である。

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kewton

kewton

大学院卒業後、某大手SIerで10年以上SEとして従事。
社会人3年目までに基本情報・応用情報技術者、データベーススペシャリスト、簿記3級・2級を取得。
基幹系システム・IoTシステム開発のプロジェクト経験多数。AI活用システムの企画・プロト開発経験あり。
強みは、プロマネだけでなく自身で開発も実施してきたこと。
【扱える言語】
C#、java、python、javascript、Excel VBA
【扱えるDB】
oracle、sql server、postgreSQL、mongoDB

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