<今日の重要テーマ(答えはありません)>
スマホは人間を2.0にバージョンアップさせるのか?
それとも1.0にダウングレードさせるのか?
仕事や勉強をしていても気づいたらスマホを手にとってSNSやニュースを見ていることはありませんか?
大人は1日4時間スマホに費やしているというデータもあります。
スマホが世に出て以降、中々ひとつのことに集中出来ないですよね。
本当はちゃんと集中して深く考えてしっかりとアウトプットを出したいと思いませんか?
本記事では、「集中することへの理解が深まれば自身をハックすることで集中力が高められるはずだ」という仮説のもと「スマホ脳」を紹介します。
本記事では、特に下記3つの観点で読み進めて行きたいと思います。
目次
「スマホ脳」の概要
本記事で紹介する本は『スマホ脳』です。
著者:アンデシュ・ハンセン
1974年生まれ、スウェーデン・ストックホルム出身です。
名門カロリンスカ医科大学で医学を学び、ストックホルム商科大学でMBA(経営学修士)を取得 。
ソフィアヘメット病院(ストックホルム)精神科専門医。
出版社・発行日
新潮社 (2020/11/18)
久山葉子[訳]
本書の概要
本書は、人間が適用した環境と現在の環境のミスマッチがもたらす心身(特に心)への不具合のメカニズムを「脳内ホルモンの機能」と「進化」の観点で説明している本です。
著者は、数多くのエビデンスから「人間の脳はデジタル社会に適応していない」と主張しています。
人間の脳は20万年かけて環境に適応するように進化してきました。しかし、スマホが登場したこの10年にライフスタイルが変化を加速させました。現在、大人は1日に4時間を、10代の若者なら4〜5時間をスマホに時間を費やしています。これまでも数多くの自然環境の変化やテクノロジーの進歩がライフスタイルを変化させてきましたが、ここまで急激な変化をもたらす出来事は人類史上にありませんでした。
そして、このミスマッチ、つまり私たちを取り巻く環境と、人間の進化の結果があっていないことが、私たちの心に影響を及ぼしているとしてます。
たとえば、スマホが不安をもたらすことを言及しています。
人間は、危険に対して不安という感情を発明することで、危険から遠ざけることに成功し生き延びる確率を高めてきました。人間が当初想定していた危機的状況は長くて数分でした。数分後には「危機的状況を回避できているか、死亡しているか」だったからです。そのため、不安を感じているときは、「睡眠、消化、繁殖行為」といった時間やエネルギーを要することを後回しにするようになりました。全リソースを回避に費やすためです。
また、一つのことに集中するために報酬システムも発達させました。しかし、スマホは、報酬システムの基礎的なメカニズムの数々をダイレクトにハッキングしているのです。その結果、スマホを通した報酬系の刺激が無くなると極端に不安を感じるようになりました。
このような形で、現代社会ではこのようなストレスに1日を通してさらされ続けます。その結果、心に不調をもたらしているのです。長期的な不安が心に不調をもたらしているのです。
本書は、この他にもスマホが与える悪影響について事細かく説明しています(本記事では詳細を後述しますがスマホは集中力にも悪影響を与えます)が、著者は盲目的に「スマホを手放して自然に近い暮らしをしたほうがいい」と言っている訳ではありません。
警鐘を鳴らしつつ、テクノロジーと上手く付き合う方法についても言及していまうす。特に運動をお勧めしています。
目次
- まえがき
- コロナに寄せて-新しいまえがき
- 第1章 人間はスマホなしで歴史を作ってきた
- 第2章 ストレス、恐怖、うつには役目がある
- 第3章 スマホは私たちの最新のドラッグである
- 第4章 集中力こそ現代社会の貴重品
- 第5章 スクリーンがメンタルヘルスや睡眠に与える影響
- 第6章 SNS-現代最強の「インフルエンサー」
- 第7章 バカになっていく子供たち
- 第8章 運動というスマートな対抗策
- 第9章 脳はスマホに適応するのか?
- 第10章 おわりに
- デジタル時代のアドバイス
- コラム
- 適度なストレスにさらされよう
- 人前で喋る恐怖
- 不安は人間特有のもの
- どんな人がスマホ依存症になるのか
- マルチタスクによって間違った場所に入る記憶
- スマホでうつになる?
- スクリーンは食欲にまで影響する?
- 一生のうちに何人と知り合えるのか
- 手薄になる自己検閲
- 何にいちばん嫉妬する?
- なぜ前頭葉は最後に成熟するのか
- 私たちはひどい体型!
- 謝辞
- 人生のバイブルに-訳者あとがき
観点①:集中しているとはどういう状態か?
知覚した情報を選択して処理の対象を決めていることを集中という
背景となる原理
脳は、リアルタイム処理できそうな量だけ、大切そうな情報を選別し、タイムスタンプを付けたうえで、独自の意識の世界で現実世界を再構築しました。
脳には、膨大な数の手順を同時処理するという信じられないほどすごい能力があるが、知能の処理能力には著しく限定された領域がひとつある。それは集中だ。私たちは一度にひとつのことにしか集中できない。
「スマホ脳」 第4章 集中力こそ現代社会の貴重品
観点②:どのようにして集中すべき対象を選択しているのか?
ドーパミンが放出される物体に集中を向けている
背景となる原理
ドーパミンの最も重要な役目は私たちを元気にすることではなく、何に集中するかを選択させることだ。つまり、人間の原動力とも言える。
お腹が空いているときにテーブルに食べ物が出てきたら、それを見ているだけでドーパミンの量が増える。つまり、増えるのは食べている最中ではない。その食べ物を食べるという選択をさせるために、ドーパミンはあなたにささやく。「さあ、これに集中しろ」
(中略)つまり、脳にしてみれば、もらえるまでの過程が目当てなのであって、その過程というのは、不確かな未来への期待でできている。
「スマホ脳」第3章 スマホは私たちの最新のドラッグである
不確かなものより、確かなものを好むべきでは?なぜ脳は不確かな結果のほうに多くのドーパミン報酬を与えるのだろうか。その答えに100%の確証はないが、最も信頼性が高い説明はこうだ。
「ドーパミンの最重要課題は、人間に行動する動機を与えることだから」
観点③:何が集中状態を妨げるのか?
報酬や情報を期待させる物体が意識下に複数あると一つのことに集中できなくなる
スマホは気軽に情報を与えてくれるため、見るだけでドーパミンが放出される。
その結果、スマホの存在を意識するだけで集中を妨げる。
背景となる原理
ドーパミンを与えてくれる対象に意識を集中させるのは、生き延びるために大切なことだ。一日中、10分ごとにちょこちょことドーパミンを補給してくれる対象を失ったら、当然ストレス反応が起きる。
「スマホ脳」第5章 スクリーンがメンタルヘルスや睡眠に与える影響
周囲の環境を理解するほど、生き延びられる可能性が高まる – その結果、自然は人間に、新しい情報を探そうとする本能を与えた。
「スマホ脳」第3章 スマホは私たちの最新のドラッグである
(中略)
新しいことを学ぶと脳はドーパミンを放出する。それだけではない。ドーパミンのおかげで人間はもっと詳しく学びたいと思うのだ。
まとめ
本記事では「スマホ脳」を紹介しました。
記事の重要ポイントは以下です。
知覚した情報を選択して処理の対象を決めていることを集中という
ドーパミンが放出される物体に集中を向けている
報酬や情報を期待させる物体が意識下に複数あると一つのことに集中できなくなる
スマホは気軽に情報を与えてくれるため、見るだけでドーパミンが放出される。
その結果、スマホの存在を意識するだけで集中を妨げる。
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