【書籍紹介】日本思想史新論-プラグマティズムからナショナリズムへ

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こんな人におすすめ

新人社会人

新人社会人

入社してからずっとパワポやエクセルでどう上手く報告するかばかりを考えていてこのままで良いのかと危機感を感じている。上司に相談しようにもその状態に慣れきっており違和感を感じてなさそう。このまま違和感を感じなくなってしまうのが怖いよ。

自分を変えるために新たな一歩を踏み出したいけど、勇気が足りない。背中を押してくれる何か、信ずるに足る何かが欲しいな。

中堅社会人

中堅社会人

物心がついてからずっと日本は坂道を転げ落ちているように感じるんだよな。

坂の上の雲を目指して登り続けられていた、日本が生き生きしていた時代と今とは一体何が違うのかな?

なぜおすすめ?

『日本思想史新論』を読むと、激動の時代を生き抜いた偉人達を支えていた思想が解るよ。そして、『失敗の本質』を繰り返している現代日本人とは異なって、エネルギーに溢れながらもしっかりと地に足が着いた日本人像が見えてくるよ。そのエッセンスを少しずつでも自身の行動に取り入れてみると良いよ。

忠犬SE

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日本思想史新論 プラグマティズムからナショナリズムへ (ちくま新書) [ 中野剛志 ]

価格:902円
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感想(8件)

読み終わったとどう感じた?

世界は活物だ。死道理で生きてはダメだ。

生きているのに死んでいる人になりたくない。

活道理で生きよう!命果てるまで。

忠犬SE

忠犬SE

というテンションになるかな。

あと、ここに書かれていることは、状況に依存して変化するような柔軟な合理性を重要視している点で構造構成主義と通じるものを感じるよ。まあでもこれが全てでなくて、人の考えは無理に統一する必要はないから「お互いに認め合えればそれで良いのかな」くらいの感じでいるのが良いと思うよ。

忠犬SE

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感想(9件)

結局、どんな本?

  • 本書の背景
  • 本書の概要
  • 本書のポイント

本書の背景

著者の本書執筆までの経歴

  • 著者は、中野剛志(なかの たけし)。日本の官僚、評論家、思想家。
  • 学位はPh.D.(エディンバラ大学・2005年)
  • 1996年、通商産業省に入省
  • 2000年、エディンバラ大学に官費留学し政治思想を専攻
  • 2005年、エディンバラ大学より博士(政治学)の学位を取得。
    学位論文は「国家の力:経済ナショナリズムの理論的基礎」
  • 2010年、京都大学大学院工学研究科都市社会工学専攻藤井研究室に退職出向。助教として着任。
  • 2011年、同研究室の准教授に昇任。
  • 2012年、京都大学を退官し、経済産業省に復帰。

公務員としての地位・身分を辞し、民間企業に「退職出向」することで移籍、一定期間の出向の後に、再任用という形で公務員に戻る。この場合も一定期間後復職し、再任用されることが担保されている。

退職出向

激動化する時代に執筆

福田内閣が発足してから「日本思想史新論」が出版されるまでの約4年半がいかに激動の時代だったかが解ります。

金融危機、政変、中国の台頭、未曾有の大災害、グローバル化にサプライチェーンの脆弱化

様々リスクが顕在化し、今に続く激動の時代が始まったとき執筆されたのが本記事で紹介する「日本思想史新論」です。

  • 2007年9月、福田内閣発足
  • 2008年5月、「国力論 経済ナショナリズムの系譜」を出版
  • 2008年9月、リーマンショック
  • 2008年9月、麻生内閣発足
  • 2008年10月、「経済はナショナリズムで動く」を出版
  • 2009年9月、政権交代。鳩山内閣発足15年振りの非自民・非共産連立政権の誕生。
  • 2010年7月、菅内閣発足
  • 2010年11月、菅内閣『TPP「協議開始」を表明、「平成の開国」目指す』
  • 2011年1月、中国のGDPが日本を抜く
  • 2011年3月、東日本大震災
  • 2011年7月、「経済はナショナリズムで動く」の改訂版として「国力とは何か-経済ナショナリズムの理論と政策」を出版
  • 2011年8-11月、タイ洪水
  • 2011年9月、野田内閣発足
  • 2012年2月、「日本思想史新論-プラグマティズムからナショナリズムへ」を出版

『国力とは何か-経済ナショナリズムの理論と政策』で述べられている危機感

この本に「日本思想史新論」を執筆するに至ったヒントが隠されています。

この本では、「ステート(国家という組織)の支配」と「ネイション(≒共同体)の能力」を区別し、支配を念頭におおいた「経済自由主義(特に新自由主義)」から、国力の理論を基礎とした「経済ナショナリズム」へのパラダイムの転換を提唱しています。

国力とは何かー経済ナショナリズムの理論と政策【電子書籍】[ 中野剛志 ]

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感想(0件)

安易なグローバル化への警鐘

東日本大震災の衝撃は、この「グローバル化による国家の退場」などというイデオロギーを根こそぎ吹き飛ばしたのである。

序 大震災という危機

国力の本質

東北地方以外の地域に住む人々が、東北地方の被災者に対して抱く同胞意識が強固であるほど、つまりナショナリズムが強いほど、国家による復興のための資源の動員はいっそう容易になる。言い換えれば、日本国民全体が団結・連帯すればするほど、被災地の早期復興が実現するのである。国民(ネイション)が団結・連帯して行動することによって生み出される力こそ、「国力(ナショナル・パワー)」に他ならない。

序 大震災という危機

カール・ポランニーの提唱した「埋め込み」の概念を用いていえば、グローバル化した経済を、もう一度、各国の中に埋め込んでいくということである。これによって、資本主義は、各国民国家の制度や文化を反映し、多様性を帯びたものとなっていく

第四章 国力の理論

著者の世界観

資本主義をグローバル化するのではなく、その反対にナショナル化していく、つまり国民のものとする。これこそが、今後の世界が進むべき方向だと著者は確信している。

第八章 経済ナショナリズムと日本の行方

著者の課題認識

我が国の危機の真因は、国民不在のイデオロギーである経済自由主義の支配を脱することが出来ないというところにある。

我々が直面しているのは、思想の危機なのだ。

第八章 経済ナショナリズムと日本の行方

このように著者は、「経済ナショナリズム」へのパラダイム 転換の重要性を解きつつも、誤った思想が邪魔をしていると主張しています。

本書(「日本思想史新論」)の概要

本書では、先述の「経済ナショナリズム」へのパラダイムの転換を阻害する要因として「戦後日本を支配してきた開国物語」をあげています。

ここでいう開国物語とは黒船~明治維新までの19世紀の尊王攘夷の物語です。ざっくりいうと、後世の人がこの物語を誤って解釈し、誤ったイデオロギーとして現代日本を縛り付けていると主張しています。

本書では、本来の開国物語を支えた思想である『新論(会沢正志斎)』を支える哲学的基礎を明らかにすることで、 戦後日本を支配してきた開国イデオロギーの呪縛から解き放つことを目的としています。

この哲学的基礎こそが副題にある、実践経験を重視する哲学であるプラグマティズム(実用主義)です。著者は、実学という日本の伝統的なプラグマティズムを回復したとき、日本のナショナリズムを健全な姿で取り戻せると主張しています。

本書のポイント

4人の思想家を繋ぐことで尊王攘夷論の基礎にプラグマティズムがあることを証明

主張:「尊王攘夷論とは、国際問題に応用されたプラグマティズムである」

根拠:『新論』での尊王攘夷論は、古学というプラグマティズムによって当時の国際問題に対処しているものである

  • 伊藤仁斎(17世紀):プラグマティズムである古学を開く
  • 荻生徂徠(17-18世紀):古学を引継ぎ、より実用的な政治論に発展させ水戸学へ。
  • 会沢正志斎(18-19世紀):後期水戸学。『新論』執筆。

根拠の補強:福沢諭吉(19世紀)もプラグマティズムの提唱者であり、文明論も「国際問題に応用されたプラグマティズム」である

伊藤仁斎の『活道理』

世界が「理」の前提ならば、その世界を「理」のみで解き明かせるわけがないであろう

「理」が有効なのは、無機質のような変化のない事物の分析についてである。

しかし、それでは、常に変化し続ける有機的・生物的で動態的な「活物」である世界=「道」を捉えることはできない

第二章 伊藤仁斎の生の哲学

具体的な道理の内容は、場面や状況によって異なる。

状況に依存して変化するような柔軟な合理性が「活道理」である。

具体的な文脈を無視して原理原則に固執するのは「死道理」である

第二章 伊藤仁斎の生の哲学

荻生徂徠の『格物致知』

徂徠は、「格物致知」を実際の経験や慣れによる習熟を通して「実践知」を身に付けることとと解する

第三章 荻生徂徠の保守思想

福沢諭吉の『人間普通日用に近き実学』

地理学とは、日本国中だけでなく、世界中の国々の風土の案内をしてくれるものだ。

物理学というのは、この宇宙のすべてのものの性質を見て、その働きを知る学問である。

歴史学とは、年代記を詳しくしたもので世界の歴史のようすを研究するものだ。

経済学というのは、個人や一つの家庭の家計から世の中全体の会計までを説明するものである。

修身学とは、行動の仕方を学び、人との交わり方や世間での振るまうべき自然の「道理(倫理)」を述べたものである。

(中略)

こういった学問は、人間にとって当たり前の実学であり、身分の上下なく、みなが身につけていけるべきものである。

この心得があった上で、士農工商それぞれの自分の責務を尽くしていくというのが大事だ。

そのようにしてこそ、それぞれの家業を営んで、個人的に独立し、家も独立し、国家も独立することができるだろう。

現代語訳 学問のすすめ

【付録】今回紹介できなかった本書のキーワード

  • 誤解されている鎖国、義命合一、ビジョンの力・・・。語りきれないところばかりです。

【付録】気になった

  • 日本からプラグマティズムが失われた真因は何だろうか?

【付録】その他おすすめの書籍

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参考

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kewton

kewton

大学院卒業後、某大手SIerで10年以上SEとして従事。
社会人3年目までに基本情報・応用情報技術者、データベーススペシャリスト、簿記3級・2級を取得。
基幹系システム・IoTシステム開発のプロジェクト経験多数。AI活用システムの企画・プロト開発経験あり。
強みは、プロマネだけでなく自身で開発も実施してきたこと。
【扱える言語】
C#、java、python、javascript、Excel VBA
【扱えるDB】
oracle、sql server、postgreSQL、mongoDB

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