『失われた30年の間日本は価値を生み出せていないのでは無いか?』
この流れを逆転させるためにも『「価値を生む」という行為を知らなくてはいけない』と思いこの本を手に取りました。
この本を読んで弁証法は価値を生むために有効であると確信できました。特に変化が激しくなるこれからの世の中には必須の思考法であると思います。
目次
この本を読もうと思った背景と目的
失われた30年の間日本は価値を生み出せていないのでは無いか?
2022年現在、約30年間日本はずっとデフレです。
これは言い換えればこの30年間付加価値の総量が低下し続けていると言ってもいいかもしれません。
価値を生む方法を喪失してしまっているのでは無いかと思いました。
「価値を生む」という行為を知らなくてはいけないという危機感
この流れを逆転させるためにも、また一人のビジネスパーソンとしてちゃんと利益を生み出すためにも、これからはちゃんと価値を生み出さなくては行けない。そのためには、そもそも価値とは何か?価値を生み出すとはどういうことか?を知らなくてはいけないと思いました。
価値にもいくつか種類があるとは思いますが、そのうちの1つは、同時に達成出来ないと思われていた2つの事柄を解消する方法を見つけて実装することではないかと考えています。
例えば「徒歩での移動」と「情報収集」を同時に満たすものは「ポッドキャスト」になります。
弁証法を使いこなしたい
このような思考法は弁証法と近いのではないかと思いました。弁証法を使いこなすことで付加価値の生み方の原理原則がわかるのでは無いかと思いました。
弁証法という思考ツールを普段から当たり前のように使えるようになるためにこの本を手に取りました。
本書の概要
著者・出版社・発行年
「東洋経済新報社」出版
2005年刊行、2014年電子化
目次
- 序話:なぜ、調査や分析をせずに、未来が見えるか
- 第一章:弁証法は、役に立つ
- 第二章:弁証法を、どう使うか
- 第三章:弁証法で、みにつく力
本書の概要
変化がますます激しくなっている。これまでは一人の人生の中では起こり得なかったような激しい変化を何度も経験する世の中になった。このような世の中では大局観が重要になる。
しかし、ロジカルシンキングだけでは木は見れても森が見えなくなる。
本書では、森全体を見るための最も優れた方法としての「哲学的思索」としての「弁証法」をレクチャーするこを目的としている。
著者が弁証法から導いた基本法則とそれを発展させた4つの法則を事例を交えて説明することで、「弁証法」の有用性やビジネスへの応用方法を指し示している。
弁証法とは何か?
そもそも弁証法とは何か?本書を引用します。
すなわち、弁証法とは
「弁証法を使いこなす」第三章
(中略)
一人が語った意見(正)に対して、もう一人が、その反対の意見(反)を語り、それぞれの意見に基づく対話を通じて、二人がともに、2つの意見を包含し、統合し、止揚した、さらに深い理解に到達するという方法 です。
弁証法から何がわかるか?
基本法則:「物事は、矛盾の止揚により発展する 」
弁証法を基に基本法則を導いています。重要な概念である「止揚」についても本書を引用します。
では、「止揚」とは、何か。それは、互いに矛盾し、対立するかに見える2つのものに対して、いずれか一方を否定するのではなく、両者を肯定し、包含し、統合し、超越することによって、より高い次元のものへとおと昇華していく ことです。
「弁証法を使いこなす」第二章
発展法則からトレンドがわかる
著者が基本法則から導いた発展法則になります。「【】」は私の個人的なラベリングです。
- 「螺旋的発展」の法則 【発展の全体像・構造】
- 「否定の否定による発展」の法則 【止揚の方法】
- 「量から質への転化による発展」の法則 【止揚のきっかけ・タイミング】
- 「対立物の相互浸透による発展」の法則【止揚の方向性】
これらの法則から、発展への理解が深まります。
発展への理解が深まることで、これからのトレンドがわかるようになります。
感じたこと・習慣化に向けて取り組むこと
文字数はそこまで多くなく1時間もあれば全体に目を通せる
文字数はそこまで多くなく1時間もあれば目を通せますが、重要なことばかりで血肉と化すには少し時間がかかりそうです。繰り返し読み続けたいリストに加えたい一冊です。
ゼロから考えなくても良い。歴史にヒントが隠れている
付加価値を生むためにゼロベースで考えようとしていたが、本書で紹介されている法則が本当であるならば歴史にヒントが隠されているはずです。「螺旋的発展の法則」でもって歴史を観ていきたいと思いました。
記憶に残る一文:「割り切り」とは、魂の弱さである。
本書を通して記憶に残った(心に響いた)一節です。
かつて、亀井勝一郎が、大切な言葉を語っています。
「弁証法を使いこなす」第二章
「割り切り」とは、魂の弱さである。
この世に存在する様々な「矛盾」を前に、それを深く心の中に把持し、「割り切る」ことなる、格闘し続けること。
それは、まさに、「魂の強さ」とでも呼ぶべき力量が求められている営みなのでしょう。
著者自身の言葉では有りませんが、著者の主張を受け入れたあとにこの文を読むとその深さが分かります。リスクを取らず、楽な道を、誰でも出来る方法に流されていては価値は生み出せません。
普段からもっと対話を取りいれる
この本にも記載されていますが、弁証法を身につけると「対話力」が身につきます。
これまでもなんとなく対話の重要性を知ってはいたものの、具体的な方法は解っていませんでした。
本書を読んで対話とは何か解ったので、普段から対話を取り入れながらローカルな止揚をお越して続けて行きたいと思います。
それがやがて大きな止揚になることを信じ。
おわりに
本記事では、田坂広志さんの「使える弁証法」を紹介しました。
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